COMPANY|株式会社空豆

　私たちは、お客様の豊かな食卓と健やかな生活のためにできることを胸に、パンを焼きはじめ10年が経ちました。

　風雪の厳しい冬の美瑛で薪を割り、手造りの窯でパンを焼いていた日々。たくさんの方々に応援していただき、支えていただき、また、ご指導をいただいたおかげで最初のパン屋「２ひきの猫」のオープンを迎えることができました。その時に感じた深い感謝の気持ちを忘れることはありません。

　私がパン屋をはじめたとき、「ささやかなことかもしれないけど、ひとりでも多くの方々の役にたつことをしたい」と胸に誓いました。今に至るまで、その誓いは私の考えの柱となり、行動の軸となっております。たくさんのお客さま、お取引先業者さま、ともに働くスタッフと接する機会をいただきましたが、その柱がいつも私の判断基準でした。これから先もより多くの出会いや出来事があると思いますが、私の中にある軸がブレることはありません。

　私がこの文章を書いているいま、日本をはじめ世界が巨大な不安に包まれています。人の集まる場所が制約され、必要なものが手に入りづらくなる社会にほんの数週間のうちに変わってしまいました。

私たちが今とるべき行動は、食卓に笑顔をもたらすことです。

　それは、とてもささやかなことかもしれないけれど、きっと誰かの、何かの役に立つことだと信じています。食卓に並んだパンから会話が生まれ、笑顔がこぼれる。その笑顔からまた会話が弾み、喜びが生まれる。その繰り返しはきっと豊かで健やかな生活の源になるはずです。

　今の私たちは、食卓での会話のきっかけをお届けすることができます。それは、たったひとつの温かいパンかもしれません。あるいは、もっと違う「ささやかな」何かかもしれません。